投稿

2024年4月1日から相続登記が義務化になります 2023年10月号

2024.03.18

不動産を持った方の相続の際に相続人が行う必要がある手続きの

一つとして、”相続登記”があります。

この相続登記はこれまで、行わなくても罰則などが課せられなかっ

たため、必要がなければ費用もかかるので、手続きをしない方も

多くいらっしゃいました。

 

しかし、相続登記がなされないことで、所有者が特定できず「有効

な土地利用ができない」ということで国レベルで大きな問題となって

いることをご存知でしょうか?

 

そもそも、相続登記とは具体的に何を指すのでしょうか?
相続登記とは、被相続人から相続した自宅、アパートなどの不動産の

名義を被相続人から不動産を相続した相続人に変更する名義変更登記

手続きをいいます。親などから相続した相続財産の中に不動産が含ま

れている場合には、相続登記をする必要があります。

 

相続登記は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人の

戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書などの書類を整え、対象不動

産の所在地を管轄する法務局で申請します。
そのため、相続する不動産が複数の地域にある場合には、それぞれの

不動産の所在地を管轄する法務局ごとに、相続登記を申請しなければ

なりません。

 

相続登記がなされず放置されると、所有者がわからない土地が増えて、

活用できない不動産が国土の大半を占めてしまうのは、大問題です。

民間有識者でつくられた「所有者不明土地問題研究会」の調査では、

この所有者不明土地による経済損失額が2017年から2040年までの
累積で、6兆円規模になるとする考えも発表している程です。

 

これらの状況を鑑みて、相続登記を義務化することが決まり、相続登

記義務化が2024年4月1日から施行されることになりました。

 

相続登記の義務化の主な内容

相続登記は3年以内にしなければ、10万円以下の過料の対象となる
相続によって取得した不動産については、法務局からの催告を受けた

にもかかわらず、正当な理由がなく3年以内に相続登記を申請をしない

でいると10万円以下の過料の対象となります。

これは、遺言などの遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有

権を取得した場合も同様です。

 

法改正前の相続物件にも適用される
注意しなければならないのが、この相続登記義務化は、相続登記義務

化の施行日(2024年4月1日)以前の相続登記をしていない不動

産についても適用がある、ということです。

 

不動産の所有権が義務化の対象となる
相続の対象となり不動産登記される権利としては、所有権のほか、地

上権、賃借権、抵当権、根抵当権など各種権利があります。
しかし、義務化の対象となるものは、不動産の所有権のみです。

地上権や賃借権などの権利は相続した場合でも義務化の対象とはなり

ません。

 

住所変更登記等は2年以内にしなければ、5万円以下の過料の対象と

なる
住所変更登記も相続登記と同様に「正当な理由」がなく2年以内に登

記申請をしないでいると5万円以下の過料の対象となります。

正当な理由がある場合には過料の対象となりません。
「正当な理由」についての具体的な類型については、相続登記義務化

と同じく今後の通達等で明確化される予定です。

 

相続登記を先延ばしにするリスク

相続登記の放置がまだ1世代程度で、過去の相続権利者が生存して

いるのであれば、遺産分割協議を行って所有者を確定し、正しい登

記内容に変更することは十分可能です。
しかし、何世代にもわたって相続登記が放置されている場合、遡っ

て問題を処理するのは非常に困難になります。

 

①不動産の相続人が増え続けてしまい、複雑になる
②不動産を売却しずらくなる
③不動産の利用・活用がしずらくなる
④抵当物件として利用できない     など