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「売買契約書の一般的な項目とポイント」

2017.01.10

売るときにしっておきたいこと

 

(1)売買物件の表示

 

売却物件の表示に誤りがないかを確認します。一般的には、登記記録(登記簿)

に基づいて契約書に表示されます。売買対象となる物件が明確であることが、

売買契約の大前提です。

 

(2)売買代金、手付金等の額、支払日

 

売買代金や手付金等の金額と買主の支払日をしっかりと確認します。
また、手付金については、その取り扱いをしっかりと確認します。

手付金がどのような手付け(解約手付、証約手付、違約手付)である

のか、金額は適当か(売買代金の何割程度か)などを確認します。

手付けが解約手付であれば、いつまで手付解除が可能であるかについても

確認しましょう。

 

(3)土地の実測及び土地代金の精算

 

土地の面積は、登記記録(登記簿)に表示された面積と実際の面積が違う

ことがあります。したがって、売主が引き渡しまでの間に土地の実測を行う

ことも多いようです。

実測の結果、登記記録(登記簿)の面積と実測した面積が違う場合は、その

面積の差に応じて、売買代金を精算します。
(実測をするのみであえて精算しないこともあります。)
一般的に、売買代金の精算は、当初の売買代金と当初の売買面積(登記記録

上の面積)に基づく1㎡当たりの単価を用いて行われます。

なお、隣人とのトラブルがある場合などは、実測と隣地との境界確認が遅延

する場合もありますので、実測作業が期日通りにできない場合の対応を協議

したほうが望ましいでしょう。

 

(4)所有権の移転と引き渡し

 

所有権の移転と引き渡しの時期を確認します。引っ越しの予定などを踏まえて、

問題ないか判断します。

所有権移転と引き渡しは代金の支払いと引き換えに行われますが、不動産取引

の実務では、代金支払いの場で、所有権移転登記に必要な書類や鍵などが買主

に引き渡されることで完了することが多いようです。

 

(5)付帯設備の引き継ぎ

 

特に、中古住宅の場合は、室内の照明やエアコンなどの設備、敷地内の庭木や

庭石などの引き継ぎについて明確にしておく必要があります。

このような付帯設備等の引き継ぎをめぐるトラブルは意外と多く発生します

ので、契約前に、何を引き継いで、何を撤去するのかを買主との間で十分に

調整する必要があります。

また、引き継ぐ設備等が故障していないかなど、その状態も事前に確認しま

しょう。契約に当たっては、付帯設備等の一覧表を用いて一つ一つ確認する

ことが多いようです。(このとき用いる一覧表は「物件告知書」「物件状況

確認書」などといわれています。)

 

(6)負担の消除

 

売却物件を完全な所有権で引き渡せるかを確認します。
例えば、抵当権や賃借権など、所有権の完全な行使を阻害するような権利は、

売主の責任によって除かれた状態で引き渡します。

このような権利の整理ができない場合には予定通り引き渡せない場合があり

ますので注意が必要です。

なお、投資用物件の売買では、テナントとの賃貸借契約に限って、買主に

引き継ぎます。
この場合は引き継ぐ権利と引き継がない権利を明確にする必要があります。

 

(7)公租公課等の精算

 

不動産売買契約では、固定資産税や都市計画税といった公租公課を売主と

買主の間で精算することが一般的です。

その他、管理費などの費用を精算することもあります。
精算は引き渡しの日を基準に、日割りで行われることが多いようです。

 

(8)手付解除

 

何らかの突発的な事情により契約を解除せざるを得ないときに、手付

解除することがありますので、どのような取り決めとなっているか確認

します。
もちろん、当事者間の合意で、手付解除を認めない契約としたり、手付

解除が可能な期間を限定することも可能です。 
手付けの金額は、一般的に売買代金の20%までの範囲で設定することが

多いようですが、手付金が少額である場合には、自分が解除するときの

負担は小さくなる一方、相手に解除されるリスクも高くなります。
  

逆に、手付金が多額である場合は、自分が解除するときの負担は大きく

なりますが、相手方に解除されるリスクは低くなります。手付解除に関し

ては、手付金の額も併せて確認しましょう。

 

(9)引き渡し前の物件の滅失・毀損(危険負担)

 

売買契約締結後に、天災で建物が全壊するなど、売主にも買主にも責任の

ない理由によって、売却物件が滅失・毀損した場合の取り決めです。
  

不動産売買では、一般的には、売主が物件を修復した上で、物件を引き

渡すこととなります。
 ただし、物件の修復に過大な費用がかかるとき、または、物件が滅失・

毀損したことにより買主が契約の目的を達せられないとき(例えば、

とても住む状態には修復されないなど)は、契約を無条件で解除すること

ができます。
万が一の場合の取り決めですので、しっかりと確認しましょう。

 

(10)契約違反による解除

 

契約違反(つまり約束違反、これを法的には「債務不履行」といいます)

により契約を解除するときの取り決めです。

 売主または買主のいずれかが債務不履行になった場合には、その相手方

は契約を解除することができます。
  このように契約違反によって解除となった場合には、契約に違反した者が

違約金等を支払うことが一般的です。違約金等はおおむね売買代金の20%

までの範囲で設定されることが多いようです。

 契約に違反することを前提として売買契約を締結するわけではありません

が、万が一のことがありますので、事前にしっかりと確認しましょう。

 

(11)反社会的勢力の排除

 

   
 不動産取引からの「反社会的勢力の排除」を目的に、平成23年6月以降

順次、反社会的勢力排除のための標準モデル条項が導入されています。

売買契約書の条項の中に「売主及び買主が、暴力団等反社会的勢力では

ないこと」「物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供しない

こと」などを確約する条項が盛り込まれていることを確認しましょう。


相手方がこれらに反する行為をした場合は、契約を解除することができます。

 

(12)ローン特約

 

買主に責任がないにもかかわらず住宅ローンの借り入れができなかった

場合、買主は売買代金を支払うことができず、最終的には契約違反とな

ってしまいます。

このような状況は買主には酷ですので、買主が、住宅ローンを利用して

住宅を購入する場合、売買契約にローン特約を付すことが一般的です。


 買主は、住宅ローンの審査が不調に終わった場合に、売買契約を無条件

で解除することができます。

ただし、買主がローン審査に必要な手続きを怠った場合など、買主の落ち

度でローンを借りることができなかった場合には、この特約は適用されま

せん。売主は、買主の資金調達が不調であった場合には、契約を解除され

るリスクがありますので、買主の信用力にもできるだけ留意して契約する

ことが大切です。

 

(13)瑕疵担保(かしたんぽ)責任

 

売買物件に、隠れた瑕疵(欠陥など)が発覚した場合、売主は物件の修補

や損害を賠償する義務を負います。
また、瑕疵が重大で、住むこともままならない場合などは、契約を解除さ

れることもあります。
 売買契約では、売主が瑕疵担保責任を負うか否か、負う場合は物件の引

き渡しからどのくらいの期間で責任を負うのかなどが取り決められます。

瑕疵担保責任の期間が短いほど買主に不利となり、逆に長いほど売主に

不利となります。
 隠れた瑕疵をめぐるトラブルは非常に多いことから、しっかりと契約

内容を確認しましょう。

         不動産ジャパン ホームページより転載

              2017.1・10