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住宅瑕疵担保履行法について

2009.05.29

買主・発注者に必要と思われる部分を書き出してみました。


1.成立の背景

 

「住宅品質確保法」に基づき、新築住宅の売主・請負人は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任を負っています。 

 

しかし、平成17年11月、耐震強度偽装事件が発覚し、売主の資力不足や経営破綻により、瑕疵担保責任は現実には履行されず、被害回復はなされないままになってしまいました。

 

そこで売主である「宅地建物取引業者」や新築住宅の請負人である「建築業者」に確実な瑕疵担保責任の履行を目的として「住宅瑕疵担保履行法」が制定されました。

 

2.必要になる時期

 

この対象は、平成21年10月1日以降、引き渡される新築住宅です。
同日以降に新築住宅を引き渡す事業者は、保険に加入していない限り、平成22年3月31日までに、保証金を供託しなければなりません。

 

事業者が供託した保証金は、10年間取り戻すことができません。

 

3.瑕疵発生の場合

 

瑕疵があることが判明した場合には、供託所または保険法人から、修補資金が支払われます。
供託の場合、支払われる金額に上限はありません。
供託されてる保証金でカバーできない事態が生じない限り、必要な金額の全額が支払われます。

 

保険の場合には、保険契約によって設定された保険金額が支払われる額の上限です。
保険金額の設定については、最低2000万円とされますので2000万円を下回ることはありません。

 

4.対象となる瑕疵担保責任


 売買・請負の目的となる建物のうち住宅に限定されます。
 建物の構造は問われません。住宅のうち新築住宅です。

 

 新築とは、①建設完了から1年を経過しておらず、②人が居住していないことをいいます。

 

 瑕疵の部位は、品確法によって特別の保護が与えられる部位と同一であり、
 ①構造耐力上主要な部分、または②雨水の浸入を防止する部分となります。

 

5.責任期間


 住宅品質確保法の瑕疵担保責任は、引渡しから10年間です。
 住宅瑕疵担保履行法における特定住宅瑕疵担保履行の存続期間も10年間です。

 

 引渡しから10年が経過すれば、品確法に基づく法廷の瑕疵担保責任が消滅し、履行法上の特定住宅瑕疵担保責任についても、担保されるべき責任がなくなります。

 

 したがって、引渡しから10年経過の後に瑕疵が判明したとしても、買主・発注者は、資力確保措置による保証金からのてん補や保険金の支払いという救済を受けられません。

                                              2009.05.29