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超高齢社会の相続問題に家族信託が効果的 202年1月号

2021.04.17

家族信託とは  
「家族信託」とは一言でいうと『財産管理の一手法』です。
資産を持つ方が、特定の目的(例えば「自分の老後生活・介護等に必要な資金

の管理及び給付」等)に従って、保有する不動産・預貯金等の資産を信頼でき

る家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みです。いわば、「家族の家族

による家族のための信託(財産管理)」と言えます。

家族・親族に管理を託すので、高額な報酬は発生しません。

したがって、資産家のためのものでもなく、誰にでも気軽に利用できる仕組

みです。                                                       
                                                       
親が認知症になった場合でも「家族信託」なら

親の代わりに財産を管理できる 

厚生労働省が2014年に発表した「日本における認知症の高齢者人口の将来推

計に関する研究」によれば、認知症高齢者は今後ますます増加し、2025年に

は65歳以上の約5人に1人が認知症を発症 するとされています。

資産管理にも影響が出ます。認知症などにより本人の意思判断能力が低下す

ると、例えば銀行口座からの引き出しができなくなり、子が代わりに親の財

産の管理や処分を一切できなくなってしまう可能性もあります。親が認知症

になった後に財産を管理する場合は、家庭裁判所へ申し立てを行い、成年後

見人を選任してもらわなければなりません。鑑定費用や手続き費用がかかる
ため、なるべく親が認知症を発症する前に財産の管理や処分の方法を決めて

おく必要があります。認知症に備える事前の対策方法が「家族信託」です。

親(委託者)が認知症になる前に設定しておくこと                                                       
で、本人の意思判断能力が低下しても子(受託者)が財産を管理・処分するこ

とができるので、財産を凍結される心配がありません。
                                                       
認知症の親の施設入居費用に、自宅を売却認知症の親を老高齢者施設へ入

居させたいが、費用面で負担が大きい。そんなケースでは自宅を売却して

売却代金で施設利用の費用を捻出したいところですが、認知症の親の財産

を処分するのは難しくなります。家族信託していれば、そんなケースでも

子(受託者)が実家を処分したり、賃貸住宅として活用し介護費用を捻出で

きるので大きなメリットとなります。

                                                       
認知症の際の不動産管理が可能に 
親が所有している2棟の古いアパート。もし親が認知症で意思判断能力が

なくなると、賃貸借契約も売却も建て替えも、大規模修繕さえ困難になる

ケースがあります。そのようなケースでも家族信託を活用しておくと、例

えば2つのアパートを子2人に信託しておけば、子が管理を引き継ぐことが

容易になります。                                                       
家族信託の事務的な業務をするのは一般的に司法書士ですが、どのように

家族信託を組んだら良いかは詳しい専門家に相談することになります。