投稿

被災ローン減免制度① 2018年10月号

2019.04.17

一定の要件を満たした場合、今、抱えているローンを免除したり減額したりできる
新しい制度です。
もとになっているのは、東日本大震災の被災者を対象に、特別につくられた制度です。
この時には、津波で家が流された多くの被災者が、自宅を再建できずにローンだけが
残ったり、再建しても二重のローンの重さに耐えきれず、後に自己破産に追い込まれ
たりしないよう、事後的に制度がつくられました。
今回の新しい制度は、それを、東日本大震災以外の自然災害にも適用できるように
しようと、全国銀行協会が中心になって、「ガイドライン」として、まとめ運用した
ものです。

 

ガイドラインでは「既往債務を弁済することができないこと又は近い将来において
既往債務を弁済することができないことが確実と見込まれること」という条件があ
ります。
難しい表現ですがこれは、現在は返済ができていたとしても、近い将来に債務が返済
できなくなることが確実に見込まれる状況です。
この状態かどうかは債務者の財産、収入、債務総額、返済期間、家計状況などを総合
的に考慮するとされています。貯金が少なく、被災によって収入が途絶えている、
あるいは収入が大きく減少するなどして債務(ローン)全般が返済できないのであれ
ば該当します。
住宅ローンだけではなく、リフォームローンやクレジット債務、自動車ローン、事業
性ローン(ただし個人事業主のみ)も含まれます。

 

注意していただきたいのはどんな災害でも対象となるわけではないというところです。
『災害救助法が適用された自然災害が対象』です。

 

  平成30年9月北海道胆振地方中東部を震源とする地震 
  平成30年8月30日からの大雨による災害
  平成30年7月豪雨による災害
  平成30年大阪府北部を震源とする地震
  平成30年2月4日からの大雪による災害
  平成29年度豪雪
  平成29年台風第21号
  平成29年台風第18号
  平成29年7月22日からの大雨による災害
  平成29年7月5日からの大雨による災害
  平成28年新潟県糸魚川市における大規模火災
  平成28年鳥取県中部地震
  平成28年台風第10号
  平成28年熊本県熊本地方の地震
  平成27年台風第21号
  平成27年台風第18号等による大雨

 

これらが直近で災害救助法が適用された自然災害です。

 

また制度が適用されるには
(1)災害後の世帯年収が730万円未満
(2)ローン返済額と新たに借りる家賃などの負担が年収の40%超
(3)災害前にローン返済をきちんと行っていたこと(期限の利益を喪失していないこと)
のいずれも満たすことが一応の要件となります(年収や返済比率の要件は例外もあり)。

 

次号へ続きます